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要確認!「無線綴じ」と「中綴じ」の違いと使い分け【同人誌】

本の綴じ方

今回は、同人誌の綴(と)じ方について解説しよう。綴じるとは、本の製本をすること。ページを順番にまとめて背表紙をつける作業を指す。つまり同人誌に限った話ではない。本には様々な綴じ方があるが、同人誌の場合は主に「無線綴じ」と「中綴じ」の2つがあり、それぞれ特徴とメリットが存在する。

これが無線綴じと中綴じ。基本的にこの2種類の綴じ方さえ覚えておけばOK。

1.無線綴じ

同人誌を作る際によく使われる綴じ方の一つ。糸や針金を使わずに、製本用の接着剤を使用してページをまとめる方法。雑誌や商業出版物でよく見かけるこの方法は、同人誌制作においても人気がある。その理由は、綴じ目が見えないので美しい仕上がりになるという点。少~大量ページ数の印刷に対応するため、同人誌に向いている。

無線綴じのメリット

1. 見た目が綺麗

無線綴じは、背表紙が平らでスッキリとした仕上がりになる。このため積み重ねることができ、崩れにくい。イベント会場では本を平積みでき、在庫分も収納しやすくなる。

2. ページ数に柔軟に対応

無線綴じは小ないページから多くのページを一冊にまとめることができる。そのため、短編のみならず長編や総集編などボリュームのある同人誌を制作するのにも向く。ただし最低ページ数が決まっている印刷所が多い。

無線綴じのデメリット

1. 強度が低い

頻繁な開閉や経年劣化、保管環境により、接着面の糊が弱まりページが剥がれることがある。これはページ数が多いと起こりやすく、注意が必要。だがこの現象は、あまりに長時間経過しないと起こりえないため、普段から気にする必要はないだろう。

2. 開きにくい

無線綴じの同人誌は完全に開くことが難しい。必然、のど(ページの内側)に印刷された部分は見えづらくなる。対策として、イラストの重要な部分や漫画の台詞部分は、のどに置かないようにすればOK。

3. 紙の種類に制約

接着剤がしっかりと機能するように、印刷所によっては紙の種類や表面処理に制約がある。特に、特殊紙や厚紙を使いたい場合は、無線綴じが対応しているかどうか事前に確認するべし。しかし、現在は印刷技術も高まってきているため、あまり気にする必要はないだろう。

4. 背幅が必要

無線綴じはページ数が増えるほど背幅が厚くなる。そのため、その分表紙デザインにも影響する。特に、背表紙にタイトルやテキストを入れたい場合は、正確な背幅の計算が必要。また、本文の紙の種類や厚さも背幅に影響することに注意。

2.中綴じ

中綴じはページを中央で折り、針金や糸を使ってページをまとめる方法。ページ数が多くてもしっかりとまとめられるのが特徴。また無線綴じと比べページがめくりやすく、糊の劣化の心配もないため、長期保存にも向いている。

中綴じのメリット

1. 無線綴じより安い

中綴じは、ページを折りたたんで糸やホチキスで留めるだけ。製本工程が非常に簡単。使用する材料(針金・ステープルなど)も安価。

2. 製本が簡単・自分で作れる

中綴じは製本工程がシンプルなため、短時間で大量に製本できる。急ぎの制作やイベント前の駆け込み印刷にも対応しやすい。自分で作るコピー本も、この製法で作られることが多い。

3. 開きやすい

中綴じはページがフラットに開きやすく、読みやすい。イラストや漫画の見開きページも問題なく見せることができるのは、無線綴じにはないメリット。

中綴じのデメリット

1. ページ数に制限

中綴じはページ数が少ない冊子に適しており、通常は48ページ程度が限界(紙の種類・印刷所によってはもっと少ない)。ページ数が多くなると綴じ部分が膨らみ、却って開きにくくなる。そのため、ボリュームのある同人誌には不向き。

2. デザインの制約

中綴じでは、無線と同じく中央の折り目部分にデザインの制約がある。見開きページや中央に重要な要素を配置する際には、綴じ部分に影響を受けないように工夫する必要がある。

まとめ

無線綴じと中綴じは、同人誌を製本する際によく使われる方法だ。自分の作りたい同人誌に合った綴じ方を選んで、素敵な同人誌を作成してもらいたい。

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