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手描きを身近に!スケブを解説【同人用語】

スケブとは「スケッチブック」の略語。同人イベントなどでサークルの絵師にキャラクターやシチュエーションを指定し、”自分の”スケブに直接描いてもらうこと。自分の好きな絵師に、好きなキャラクターを直筆で描いてもらえるのがスケブの大きな魅力。

スケブの依頼方法

コミケなどの同人誌即売会で、直接サークルに足を運び依頼する。または、サークル主がSNSなどで募集している場合もあり、それに申し込む方法もある。ただし人気作家の場合、枠がすぐに埋まってしまうため、見逃さないよう注意。スケブは無料で行われることが一般的であるが、有料で行われることもある。

スケブを頼む手順

  1. サークルの決定・挨拶
    スケブを頼みたいサークル(絵師)が決まったらスペースに行き、まずは挨拶。そしてスケブを頼みたい旨を伝えよう。そのときに新刊などの頒布物を手に取ってあげれば、快く了承してくれるかも?
  2. 描いてほしい内容を指定
    具体的に何を描いて欲しいか、希望するキャラクターやシチュエーションなどをわかりやすく・簡潔に伝えよう。イメージが固まっていなければ、お任せでも良いだろう。
    ■ キャラクター・・・サークル主が参加しているジャンルのキャラであれば、あちらも描きやすい。作者の負担もあるため、キャラ数は多くても3人以下に抑えよう。
    ■ シチュエーション・・・あまりに特殊で難解な状況・構図だと困ってしまうかも。またサークルにもよるが、一般的に卑猥と思われるシチュも控えよう。公共の場で描くのは絵師本人ということを忘れないように。
  3. 条件の確認
    場合によっては絵師から条件を指定される。
  4. 待機と受け取り
    絵師がスケブを受けてくれたら後は待つだけ。その場にいる必要はないが、サークルの忙しさやスケジュールによってはイベント終了間際までかかることも。その場合は受け渡し時期を指定してくれるので、それに従おう。
  5. 感謝を伝える
    スケブを受け取ったら、描いてくれた人にお礼を述べよう。たとえ完成品が自分のイメージ通りでなかったとしても、描いてくれたこと自体に感謝し、ありがたく受け取る気持ちが大切。

以上が一般的なスケブの頼み方の手順。特に難しく考える必要はなく、内容を簡潔に伝えられれば良い。

手順のまとめ

スケブの依頼には、一定のマナーが求めらる。頼む際は、丁寧な言葉遣いであることはもちろん、相手の都合も考えよう。また、イラストの内容は難解・特殊なシチュエーションにしない方が良い。作品と作者を尊重し、わかりやすいリクエストを。そして、描いてもらった後は感謝の意を示すことを忘れないように。

スケブの価格

スケブは無料……という思い込みは前時代的考え。もちろん無料で受けてくれる人もいれば、価格を提示される場合もあり、こればかりは絵師次第としか言えない。主の都合や人気度や技量、描き込み具合などにもよるだろう。

スケブをやるメリット

スケブはサークルにもよるが、大抵は無料。なぜ無償で受けてくれる人がいるのだろう?実は絵師がスケブを受けるのは、いくつかのメリットがあるからだ。

1.ファンとの交流

スケブを通じてファンと直接対話できるため、絵師とファンの距離が縮まる。どのキャラクターが人気か、どんな絵を描いてほしいかなど、一ファンの声を聞ける機会でもある。

2.絵の練習とアナログスキルの向上

スケブを受けることで、即興で描くスキルが鍛えられる。普段デジタルで描くのであれば、数少ないアナログで描けるチャンス。また、相手から指定されることで普段描かないキャラクターやテーマに挑戦でき、新鮮さも得られるだろう。

3.モチベ維持

スケブを描き切り、直接感謝や喜びの声を聞くことで、創作活動のモチベーションが高まる。自分が作った一点ものを相手に手渡しで納品することも、会場でなければ味わえないことであろう。経験しておいて損はない。

4.暇つぶし

色々ありがちな理由を挙げたが、描く立場からすれば結局はこれに行き着くのではないか。即売会というものは、人が来なければ基本することがない。さらにソロ参加では気軽に離席もできない。そのため、イベント中はほとんどが拘束時間であり、暇。スマホをいじるなど他にやれることもあるが、ここは即売会。上記のメリットを享受できつつ、「今ここでしかできない最適な暇つぶし」がスケブなのである。

スケブ文化は廃れている?

平成期のコミケではイベントで絵師にスケブを渡してイラストを描いてもらう光景がよく見られた。しかし、近年では見かけることが少なくなってきたように思う。その理由を考えてみよう。

対価は払うべきなのか

ひと昔前は、1枚の絵を描いてもらうことに対し対価を払う・受け取るという考えは希薄であった。しかし今は令和。ネット上での交流が発展した現在ではココナラやランサーズ、イラスト依頼専用サイトskebなどが普及しており、「イラストは有償で描いてもらうもの」という認識が広まりつつある。つまり、絵師の労力とスキルがより尊重されつつ時代になっている。

ココナラ

ランサーズ

また、時間とコストの問題も無視できない。スケブを描く側は、それなりの時間と労力が必要だからである。

スケブ絵一枚にかかる労力

前提として、絵描きにとって一枚の絵を描くというのは、それだけで大きな時間と頭を使う。もちろん絵師によってどう描くかは自由であり、手順や方法は様々。しかし、絵を描くのに必要な基本的流れというものは存在する。そのステップは以下↓

  1. 構図を考える
    絵の構図を考える。これは絵を描く上での土台のようなものであり、これがぐらついていては絵全体がちぐはぐなものになってしまう。そのため、この段階で多くの時間が使われる。
  2. 下書き(ラフ)
    上記で考えた構図を形に起こしていく。この段階では、細部よりも全体のバランスや構成に目を向ける。
  3. ペン入れ(清書)
    下書きを基に、詳細な線を描き込む。アナログのため修正がきかず、正確さが求められるため、集中力と時間を要する。
  4. 仕上げと調整
    最終的な調整を行う。必要に応じて線を描き足すなど、絵全体の統一感を出す。

このように、それぞれの段階で時間と労力が必要。描き方は絵師次第であるが、高いクオリティ・絵師自身が満足いくレベルの作品を目指す場合、多くのリソースが割かれることは必須。スケブの場合は一発描き・不慣れな会場・時間制限で描かなければならないというプレッシャーも重なるため、普段より難易度は上がっているだろう。

そもそも、アナログで描かない(描けない)

絵師のデジタル化も避けられない問題だろう。今やPC・タブレットで絵を描くのが当たり前の時代となり、頑張ればスマホでも描ける。そのため、これまで絵は全てデジタルで描いてきたという絵師も珍しくない。故に、アナログに不慣れな(若しくは、描いたことがない)絵師がいることも考慮しなければならない。

デジタルであれば絵の修正が容易に行えるが、アナログは基本一発勝負。またスケブはデジタルと違い色を塗らない場合が多いため、置ける色は黒のみ。そのため、スケブにはモノクロ絵に合った描き方が必要となる。これまでデジタル一本だった絵師であれば、それらに苦手意識を持つのは当然と言える。「スケブもやってみたいが、アナログは苦手……」それが理由で断る人もいる。

頼みにくい状況

頼む際は、絵師の都合を考える必要もある。そのため、頼みにくい状況では躊躇してしまうことも。例えば、サークルスペースが忙しそう・閉場まであまり時間がない・他の人もスケブを頼むかも……というような状況。このような事態はいくらでも起こり得る。無料で描いてもらうという、後ろめたさに似た感情もあるだろう。

頼む側は適切なタイミングと方法を選ぶ・スケブOKな絵師はそれを会場やSNSでオープンにしておくことで、お互い気兼ねなくスケブできるようになるだろう。

まとめ

スケブ文化は、即売会などでファンとのコミュニケーションの一環として、即売会の中で根付いていた。つまり、当時は参加者同士で楽しむことが優先されていたのである。しかし昔と違い、絵が有償でやりとりされていく現代。無料で描く・描いてもらうスケブはお互いに頼みにくい部分もあるだろう。

スケブ文化は廃つつある理由をいくつか挙げてみたが、完全に消えてしまったわけではない。個人の判断や時代の流れとともに変わる部分もあるが、スケブという即売会特有の文化はしっかりと受け継がれていてほしいものだ。みんなも、機会があればスケブを依頼してみてはいかがだろうか。

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