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同人ノベルティについて解説【同人用語】

ノベルティとは、頒布物に付いてくるおまけのこと。例えば、同人グッズをイベントや通販で購入した時、サークルからポストカード等が貰えることがある。これはノベルティと呼ばれるもので、つまりおまけグッズのことだ。ちなみに本来のノベルティ(Novelty)は、「企業が宣伝目的で無料配布する品物」という意味である。

同人におけるノベルティも本来の意味とは多少違えど、(基本的に)無料のものを指す。だが実際、イベント会場での同人ノベルティは、普通に頒布物(グッズ)のひとつとして陳列されている場合も多く、無料か有料かはサークル主によるものとなっている。

同人ノベルティの定義はあいまい

先に述べたように、ノベルティは本来の意味では無料だが、同人におけるノベルティにおいては話は別。無料・有料の明確な区別がない。それ故に、グッズとほぼ変わらない意味合いとなっている。そのため、サークルが「ノベルティ」と謳っているものであっても、安易に無料だと捉えない方がいいだろう。

ノベルティの種類

ノベルティの種類は多岐に渡る。定番のポストカードや缶バッジだけでなく、ノートやティッシュなどの実用的なものまで、さまざまなバリエーションが存在する。例えば、以下のようなノベルティが挙げられる。

  1. ポストカード・ステッカー・シール
    イラストを印刷したポストカード類は、ノベルティの代表例。使われるイラストは各サークルによる過去絵の他、新たに描き下ろされることもある。中にはキラ加工やラミネート加工されているものもあり、自由度が高い分、作者の個性が光る。また、サークルとしても低価格で嵩張らず、在庫も調整しやすい。
  2. アクリルキーホルダー・ストラップ
    デザインの自由度が高く、尚且つ耐久性もあるため長く使えるのが利点。大きさはさまざまだが、基本的にはかばんや鍵等にも付けやすいサイズ感が多く、汎用性もあり扱いやすい。ただし、作るには元画像データの画質や大きさの調整が必要であり、ポストカードと比べると作成難易度は上がる。
  3. 缶バッジ・ピンバッジ
    キャラクターやロゴがデザインされた缶バッジ。鞄や帽子などに付けて楽しむことができる。小さく扱いやすいが、やや嵩張るのが難点。ピンバッジは缶バッジと比べ小さく、コーデのワンポイントに使えるなど自由度が高い。
  4. しおり・ちらし・名刺
    同人誌の間に挟まっていることが多い。コレクションアイテムというよりは、宣伝目的の意味合いが強い。
  5. クリアファイル
    A4用などの大判に印刷されたクリアファイルは、他のノベルティと比較しても目を引く。手に取りやすい実用的なアイテムであるが、公共の場では取り出しにくいのが難点。
  6. ポスター・タペストリー
    本来は、それらが頒布物として並ぶことはあまりない(でかいから)。実際にはサークルが自スペースに周囲へのアピール目的で配置し、不要になる撤収時に希望者に配布することが多い。飾る以外の用途は不明。
  7. トートバッグ
    布製トートバッグは、ロゴ寄りのデザインであれば普段使いもしやすく、実用的。
  8. ティッシュ・汗拭きシート・カイロ
    日常的に使える消耗品も、印刷会社に依頼すれば自分のイラストをパッケージ化してくれる。ティッシュは言わずもがな、シートやカイロはそれぞれ需要のあるシーズンで頒布すれば喜ばれるだろう。
  9. スマホ関連グッズ
    スマホリングやスタンド、ケースやモバイルバッテリーなど、スマホ関連のノベルティも増えている。しかし性能や品質においては、有名ブランド品と比べ高いとは言えない。毎日使うアイテムであるため、衝動買いには気を付けたい。

サークルがノベルティを作る理由

ノベルティ類は、同人誌を作るのに比べ制作コストが高く、本のように薄いものでもないため大量に在庫を持つことも難しい。では、なぜサークルはこういったノベルティを作るのだろうか?その理由をいくつか説明しよう。

  1. サークルの知名度向上
    サークルのブランドを広める手段として、ノベルティは有効。魅力的なノベルティであれば、無料でも有料でも購入者の記憶に残り、サークルの知名度向上に貢献する。
  2. 販売の促進
    ノベルティを付けることで、他作品の頒布促進が狙える。一例として、新刊にノベルティが付くセットを用意(いわゆる『新刊セット』)するなど、特典で相手の購買意欲を高めることができれば、売り上げは向上するだろう。
  3. 競争力の強化
    多くのサークルが参加するイベントにおいて、自サークルの存在をアピールするためには、他との差別化が必要。珍しいノベルティであれば、見に来た人の注目を大きく集め、他サークルよりも有利に立てるだろう。
  4. 自分用
    サークルが「自分用に作りたかったから」も理由の一つ。同人作家というものは、好きな作品やキャラクターを何らかの形で残したいと思っているものであり、ノベルティ制作もその一環。自己満足を満たす一つの方法なのである。頒布する理由は、「他の人にも手にしてもらいたい」「複数個作れば単価が抑えられ、イベントで頒布もできる」「印刷所の最小ロットが10以上のため、余った分を頒布する」等が考えられる。

これらの理由から、サークルはノベルティを作る。販促目的も強いが、根源にあるのは作品への愛。

ノベルティ制作のメリット

上記にも述べたように、サークルがノベルティを作るのには様々な理由がある。またそれだけにとどまらず、制作により得られる経験も、今後活動を続けていく上での大きな資産となる。

  1. ノベルティ制作に詳しくなれる
    例えば、同人誌の制作は、すでに多くの経験者がいる。そのため、作り方やオススメの印刷会社、入稿方法などの情報はあふれている。しかし、アクキーやバッジなどのノベルティ系の印刷物は、それと比較すると情報は少なめ。作っている人が少ないからだ。そのため、自分でデータを作成し、印刷会社を比較検討&入稿し、完成品を受け取る流れを実際に自分でやってみることで、それは貴重な経験になる。他人からノベルティ制作について訊かれた際も、自分の経験を話せるので、よりノベルティ制作の輪が広まるだろう。
  2. 需要を実感できる
    同人活動では、自分の創作物を多くの人に届けることがひとつの目的。クリアファイルやキーホルダー、ステッカーといったアイテムは、購入者のコレクションまたは日常生活の一部として使われることが多い。これにより、ファンが自分の作品を常に身近に感じてくれる。
    また、商品の需要を研究することは、今後の創作活動にも大いに役立つ。どのアイテムが特に人気があったのか、どのデザインやキャラクターが好評だったのかを把握することで、次回の制作に活かすことができる。例えば、特定のキャラクターのステッカーが好評であれば、そのキャラクターを主にした新しいノベルティを企画することで、さらに多くの人に喜んでもらえるだろう。

まとめ

ノベルティには多くの種類があり、売り上げやサークルの注目度を高めることに一役買っている。同人誌ばかりでマンネリを感じているサークルは、一度ノベルティにも手を出してみてはどうだろうか。新しいことに挑戦することで視野が広がり、新しい知見やアイデアが得られるるかもしれない。

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