キャッシュレス化が進んでいる現代。しかし、コミケなどの即売会においては別で、現在でも現金決済が主流となっている。それは一体なぜなのだろうか?
キャッシュレス導入はハードルが高い
なぜ即売会では今なお現金がメインなのか。調べてみると、今の環境ではキャッシュレス化が難しいことがわかった。理由はいくつかある。
※ここでのキャッシュレス決済とは、クレジットカード決済・QR決済を指す。
- インフラの不足
即売会の会場は一時的に場所を借りて開催することが多く、大勢のサークル主がキャッシュレス決済を採用となるとインフラが不十分。キャッシュレス決済にはインターネット接続や電源が必要であり、これらの条件が整っていない場合は導入が難しくなる。 - コストと手間
キャッシュレス決済を導入するには初期費用や審査、手数料がかかる。また、それらを管理する時間や手間も必要。これらの負担を天秤にかけ、採用しない方が良い場合もある。 - 利用者の現金所持率
イベントには様々な男女年齢の人々が参加する。しかも、多くは現金決済を承知して参加している。そのため、わざわざサークル側がキャッシュレス決済を導入する意義が薄い。 - 信頼性とセキュリティ
即売会はその場限りの取引。つまり、取引の信頼性やセキュリティが重要で、それが欠けていると購入者は不安になる。特に即売会のような一期一会のイベントでは、システムの信頼性を確保することが難しい。それならば現金で払った方が安心だよねとなる。
これらの理由から、キャッシュレス決済は便利さ・スピーディーさ等がある一方、即売会での導入となると多くの課題に直面していることがわかる。
ならば、現金決済をスムーズに行う
上記の理由から、即売会での支払いは基本現金。利便性ではキャッシュレスには勝てないのだが、そこは自分で工夫することで解決できる。それでは、スムーズに取引を行うために知っておきたいポイントをそれぞれの立場で紹介しよう。
1.小銭・お札を用意する(購入者側)
多くの種類の小銭とお札を用意しておくことで、商品の価格に合わせてスムーズに支払いができる。同人誌即売会の場合、50円玉以下は不要。100円玉・500円玉・お札を財布のセパレートで仕分けるか、種類ごとに財布を用意しておくと便利。必要な種類と特徴は以下。
- 百円玉・五百円玉
即売会で頒布されている商品(主に同人誌)は、100円・500円単位で価格設定されているものが多い。そのため、500円玉(と少しの100円玉)を多めに準備して行くとよい。お釣りが出ないように支払うことで、売り子への負担も減らせる。小銭が大量に欲しい場合は、銀行に行くと両替してもらえる。 - 千円札
千円札は軽く扱いやすい。500円の商品を買えば500円が帰ってくるため、売り子もお釣りを出しやすい金額。 - 一万円札
よく一万円札は即売会では忌避される。特にイベント序盤で出されてはサークル側がお釣りを大量に吐き出すことになり、その後使うお釣りが減ってしまうからだ。しかし、イベント終盤では評価が変わる。なぜなら、これまで得た大量のお札と硬貨を紙幣1枚に変換できるため。打って変わって重宝されるだろう。
2.お釣りの準備をする(サークル側)
- お釣りを用意する
商品の価格から予想されるお釣りを用意する。例えば、500円の品であれば千円札を出された時のために500円玉、400円なら100円玉といった具合。こうすることでスムーズに取引できる。 - 価格表示の明瞭化
商品の価格を明確に表示し、可能な限り一目で理解できるようにする。購入者からしてみれば、値段が不明瞭なものは買おうとは思わない。聞くのも面倒と思われてしまっては、機会損失につながる。価格表示がわかりやすければ、手に取りやすい環境になる。 - スペースの整理
会計用の場所は確保しておこう。必要なものは購入者がお金を差し出すトレーと、お釣り用のお札や硬貨をまとめるコインケース。トレーはすぐ取り出せるか、最初から購入者側に置いておくと会計がスムーズだ。
数十年後どうなるかわからないが
以上、即売会でのキャッシュレス化と現金の扱いについて話した。やはり現在もキャッシュレス化は難しい。だが社会トレンドの変化や、新しく簡単な支払いシステムやデジタル通貨が普及すれば、将来的には即売会でも使われるかもしれない。しかし、それらにはサークルや主催者側の受け入れ態勢や、技術の発展など、さまざまな要素が関与する。そのため、実装に時間がかかるのは間違いないだろう。